東京ガス株式会社 POSITIVEの標準機能を活用した人事システム刷新により約50%の維持費削減を達成 人事DXの推進にも寄与
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都市ガス事業はもとより、電力事業、地域開発サービス事業など、幅広いビジネスを展開する東京ガス株式会社。2018年に、人事部内に業務改革プロジェクトを設置。各事業会社やカンパニーの裁量を拡大しその連携によってグループシナジーを最大化するため、自立自走のホールディングス型グループ経営への移行を進める中で、人事基幹システムのリプレースに着手しました。
リプレースの背景にあったのが、「人事業務の複雑化によるヒューマンエラーリスクの増大」「人事情報が複数システムや紙に散在し、一元化されていない」「システム仕様も複雑化し、維持費用が増加」という3つの問題点でした。これに加えて、前システムの保守期限が迫っていたこともあり、約1年かけて新システムを検討した結果、2019年にPOSITIVEの導入を決定しました。
「決め手は、大手企業での多数の導入実績があったこと、そのノウハウに基づいた豊富な機能と業務フローが備わっていたこと、そして、多様な働き方や組織改編に対応する柔軟性があることでした」。こう語るのは、同社人事部 人事戦略グループの清水太朗氏。プロジェクトは「パッケージソフトの標準機能に業務を合わせていく」という方針で進め、これが奏功して、従前の約50%という大幅な維持管理費の削減を実現しました。他にも、業務のスリム化や人材活用の伸展など多くの効果が出たといいます。
複雑化した人事業務プロセスと基幹システムを刷新すべく、POSITIVEを採用
POSITIVEを選んだ決め手は、『大手企業における多数の稼働実績』と『その経験がベストプラクティスとして取り入れられた豊富な標準機能と業務フロー』でした。
人事部 人事戦略グループ ITチーム
リーダー
清水 太朗 氏
東京ガスには、出向者含め約8,000名の社員が在席しています。グループ連結での社員数は、約1万6,600名。本社、基地、導管と呼ばれる現場などにおいて様々な勤務形態が存在するため、公平性や処遇維持の観点から人事制度の新設や選択肢の多様化が行われてきました。しかしその裏返しとして制度は複雑化し、社員にとって分かりにくく、人事部員もミスを起こしやすい状況が生じていました。
また当時は、人事業務が「届出申請・勤務表」「人事給与」「人材開発」など6つの基幹システムに分かれて運用されていました。人材情報は各システムや紙に散在しており、必要な情報をまとめて参照するのが難しいという問題がありました。各システムにおいて、他のカンパニーや事業会社の人材情報を閲覧不可としていたこともあり、部門を越えた人材活用を行いにくい状況が続いていたと清水氏はいいます。
複雑化した人事制度に対応できるよう各システムで仕様追加を続けた結果、システムの維持費は増加し、新たな人事施策にタイムリーに対応することも難しくなっていました。システムの保守期限が迫っていたこともあり、生産性向上を目的とした業務プロセス改革に取り組んでいた人事部門は人事基幹システムのリプレースを決定しました。
1年をかけて最適な新システムを検討した結果、東京ガスはPOSITIVEを採用しました。
「POSITIVEを選んだ決め手は、『大手企業における多数の稼働実績』と『その経験がベストプラクティスとして取り入れられた豊富な標準機能と業務フロー』でした。豊富な標準機能により私たちの要件はおおむね対応されており、アドオン開発を抑制したシンプルなシステム導入が可能であると分かりました。また、POSITIVEの機能や業務フローに自社の業務を合わせる方針とすることで、同時に業務のスリム化も実現できると考えました」。(清水氏)
こうして、6つの人事基幹システムをPOSITIVEへと刷新・統合し、合わせてPOSITIVEの標準機能をベストプラクティスとして活用し業務プロセス改革も実現する、という方針で2019年4月にプロジェクトがスタートしました。
POSITIVEに業務を合わせ、システム維持費を半分に。人材活用や働き方改革にも効果。
なにより標準機能が非常に豊富で充実しているところがよいと思いました。追加開発の時間やコストがかからず、維持費も抑えられます。
人事部 人事戦略グループ ITチーム
リーダー
清水 太朗 氏
プロジェクト進行中に、新型コロナウイルス流行によるBCP(事業継続計画)発動でシステムテスト着手が遅延、などの予期せぬ出来事も生じましたが、2021年2月にPOSITIVEは無事に稼働開始を迎えました。
清水氏は、「POSITIVEの標準機能に業務を合わせる」方針により目論んだ「システム維持管理費の削減」や「人事制度や業務プロセスのスリム化」が着実に実現できている、と考えています。
POSITIVEの標準機能を活かしたシステム導入を進めた結果、手当、勤務、福利厚生を中心に時代に合わない制度や申請フローなどの見直しが行われ、当初の目論見通りに業務のスリム化が実現されました。
また、「人材情報が1つのシステムに統合された結果、人事部内の業務効率化に加え、情報共有が進み部門を越えた人材活用が促進された」「申請業務のペーパーレス化やモバイル化により、押印業務が削減された、在宅勤務を行いやすくなった」など、人材活用や働き方改革におけるメリットも得られています。
「POSITIVE導入において開発したアドオン機能は同規模の導入プロジェクトと比べて大幅に少ないと聞いています。その効果もあり、2023年予算におけるシステム維持管理費は従来比で約50%削減されました。将来的なバージョンアップ対応コストの削減にもつなげられたと感じています」(清水氏)
「一方で、業務をできるだけシステムに合わせた結果、業務フローやシステムの使い勝手は大幅に変わりました。そのため、切り替え当初は入力漏れや操作ミスが多数発生し、業務に影響が生じたのも事実です。ですが、きめ細やかなマニュアルの整備や、デジタルアダプションツールで画面上に操作手順をポップアップ表示させる等のユーザー支援策の実施により、現在は大きな問題なく運用できるようになりました」(清水氏)
「最近リリースしたモバイル版も好評です。エレベーターの待ち時間や移動時間に勤務記録を入力したり承認したりすることができますし、出張のときも空き時間にサッと確認や記録ができます。UIが素晴らしくとても使いやすいため、『PCよりスマホをメインにしている』という社員もいるほど。多くの社員にPOSITIVEが受け入れられていると感じています」(清水氏)
人事部ITチームが人事勤労業務のDX推進を先導。部内の空気が変わり、意欲が高まった!
人事部のITチームが、データの見える化や分析、先端技術に関する知識やトレンドの発信などを積極的に行って、人事部内にとどまらず全社業務におけるDX推進役を担っています。
ITチームが推進した取り組みのひとつとしてペーパーレスを軸とした業務削減があります。POSITIVEになって電子申請化されたものが増えたものの、まだまだ「紙」に依存する業務も多く存在し、これらがテレワークやデジタル化の障害となっていました。それらを解決するために、紙を取り扱う人事部業務全体の見える化を行い、優先度を決め、個々の見える化と打ち手を検討するというプロセスにて、最終的に約30,000枚の紙と関連する業務を削減しました。具体的には、紙に印刷して行っていた確認作業をPOSITIVEの帳票機能を利用して半自動化しました。また社員に社便を送付して行っていた業務をPOSITIVE上で報告・管理出来るようにしました。このように、紙の枚数を減らすことから始め、業務フローの見える化と打ち手の検討を行い、紙に付随する業務を大幅に削減しました。
他にも、社員意識調査の要因分析による効果的な人事施策の検討や展開や、タレントマネジメントシステムの活用による効果的な人員配置や人材育成の取り組みが、人事部のDX関連の取り組みとして挙げられます。
「これら一連の取り組みをさらに盛り上げるために、『HRDX FES.』という社内イベントを人事部で開催しました。人事関連データの活用事例やIT技術による人事勤労業務の効率化の取り組みを報告するイベントに、グループ内の約900人が参加してくれました。参加者から『社員意識調査の結果ってあんなふうに生かされているんだね』『ペーパーレスの取り組みをもっと進めたいからやり方を教えてほしい』など、意欲的な声が寄せられて、これを機に、ぐっと人事部やDXを取り巻く雰囲気がよくなったと感じています」(清水氏)
今後もITチームは、在宅勤務で増えた会議時間の実情など、働き方に関するデータの見える化に継続的に取り組んでいく計画です。また現在、ホールディングス型のグループ体制への移行のためにPOSITIVEのマルチカンパニー機能の導入を進めており、それに合わせたグループ内シェアードサービスの検討と体制の確立も予定されています。
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※記載情報は取材時(2023年3月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。