市民が主役のまちづくりへ
丸亀市が拓く「第三次丸亀市総合計画」と市政の新しいカタチ
- スマートシティ
丸亀市役所 市長公室 政策課 副課長 藤井 慶子氏、丸亀市役所 都市整備部 都市計画課 計画担当長 大川 智氏、丸亀市役所 市長公室 政策課 課長 真鍋 裕章氏
香川県中西部に位置する丸亀市。人口約10万人を擁する同市は、他の多くの地方自治体と同様、人口減少や若年層の流出という課題に悩み、さまざまな施策を実施してきました。
しかし、局所的な処方箋では、この大きな流れを変えることは難しく、発想の転換に迫られます。人口減少を前提として受け入れながら、いかに市民がイキイキと暮らせるまちを実現できるか。その方策が問われていたのです。
この問いに対し丸亀市は、今後8年にわたる市政運営の基本方針を再定義し、その内容を「第三次丸亀市総合計画」にまとめあげました。
この一連の刷新プロセスを支援したのは電通総研・電通西日本です。ソーシャルメディア分析やコミュニケーションデザイン、シティブランディングといった取り組みを通じて、市民が主役として輝く総合計画づくりを後押ししました。
同プロジェクトを指揮した丸亀市政策課 課長の真鍋裕章氏は、その支援について「われわれの思いを明確に言語化すると同時に、これまでの発想では得られなかった新たな視点を示してくれた」と話しています。「これからこの総合計画の基本方針を具体的な施策に落とし込み、成果につなげていきたいと思っています」。
読まれない総合計画
「大事な文書なのに、誰も読んでいない」。真鍋氏は、「総合計画」のこれまでのあり方についてそう語ります。
人口動態や社会環境分析を踏まえ、今後8年間の自治体運営の基本方針を示す総合計画。その位置づけは市政の最上位に置かれるものの、肝心の文書は読み手に参加意識を奮い起こすものではありませんでした。
「内容が難しい。分量が多い。いわゆる行政文書で市民が進んで読みたくなるようなものではなかったのです」と真鍋氏は振り返ります。
「まちづくりは人づくりとよく言われますが、市民が動いてくれなければ、行政がどんな施策を実施しても成果につながりません。人口減少の時代だからこそ、市民が進んでまちづくりに参加したくなるような総合計画にしていかなければ」。
その思いを実現するためには、従来の発想の刷新が必要でした。
「解決」から「適応」へ
ちょうどそれと時を同じくして、自治体の最重要課題ともいえる人口減少に対する市の考え方も変化しつつあったと真鍋氏は打ち明けます。
「それまでは人口減少をとにかく食い止めることが最優先でした。それで子育て支援や定住促進策を実施してきたのですが、結果的にそれらは局所的な効果にとどまっていました。全体として流れを変えることはできなかったのです。それならば、あえてこの流れを受け入れ、そこに適応しながら、市民がイキイキと暮らせるまちをつくっていこう、という発想の転換がありました」。
次期総合計画はこの変化を反映するものでなければなりません。そのためにはどうすればいいのか。これまでの常識をもう一度問い直す必要がありました。
ワクワクする提案
電通総研・電通西日本の提案にはこれまでにない発想があり、読んでいてワクワクしました
丸亀市役所
都市整備部 都市計画課 計画担当長
大川 智氏
そこで丸亀市は外部から提案を募り、支援パートナーを探します。審査の結果、最終的に選ばれたのは電通総研と電通西日本でした。
「両社の提案にはソーシャルメディア分析やシティブランディングの考え方など従来にないアイデアが示されており、読んでいてワクワクした」と総合計画の実務を担った大川智氏は話します。「過去の焼き直しではなく、まさに新しい発想がそこにあったのです」。
その提案の骨子は、ソーシャルメディア分析や若年層向けシンポジウム、パブリックコメントやアンケートなどを通じて多様な市民の声を収集し、そこから得られた知見を基本方針に反映するというもの。さらにその内容を市民に伝わる言葉やデザインで表現します。これはデータ分析から方針策定、コミュニケーションまでをひとつの流れと捉える統合アプローチでした。
実際にこの取り組みを支えたのは、テクノロジーやデータ活用に裏打ちされたコンサルティングに強みを持つ電通総研と、マーケティングやブランディングを得意とする電通西日本です。この2社が連携した支援体制には、一体感と安心感があったと大川氏は語ります。
人が動き出すまちづくりへ
電通総研・電通西日本の支援のおかげで総合計画変革の一歩を踏み出すことができました
丸亀市役所
市長公室 政策課 課長
真鍋 裕章氏
その後、施策の評価指標(KPI)の見直しを経て、2026年4月、丸亀市は8年間の市政運営の基本方針を示す「第三次丸亀市総合計画」を発表しました。それは明快なビジュアルと平明な言葉で表現されていました。
「市民の誰もが読みたくなる総合計画を目指しましたが、その目標は達成できたのではないかと思っています」と語る大川氏。現在、都市計画課で都市づくりを指揮する大川氏は「これからは都市計画の分野でこの総合計画の基本方針を広めていきたい」と話します。
「計画はできました。本当の仕事はこれからです」と語るのは真鍋氏。「人口減少という急流を止めることは難しいかもしれません。しかし、その現実を受け止めながら、人が暮らし、人が集い、人が動き出すまちをつくることはできる。そのために自治体も変わっていかなければなりません。今回の総合計画はその変革の一歩です。こうしてスタートが切れたのは、わたしたちの思いを受け止め、かたちにしてくれた電通総研・電通西日本の支援のおかげです」。
丸亀市は今後この総合計画を機動的に運用し、環境変化に応じて施策のあり方を柔軟に組み替えていく方針です。今回の総合計画刷新は、つねに最善を求めて変化していく地方自治体の政策コミュニケーションの基盤づくりだったと言えるかもしれません。
香川県中西部、瀬戸内海に面した人口約11万人の都市。人口減少や若年層流出への対応を重要課題とし、「第三次丸亀市総合計画」を軸に市民主体のまちづくりと持続可能な自治体経営に取り組む。
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※記載情報は取材時(2026年7月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。