キッコーマン株式会社 Ci*X Expenseを導入し経費精算業務の効率化とガバナンス強化を推進
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醤油造りに三世紀以上の歴史を誇るキッコーマン株式会社。同社は世界100カ国以上の国と地域で多彩な食料品製造・販売事業を展開し、高い成長率を維持し続けるグローバル企業です。キッコーマングループ国内各社のシステムを統括するキッコーマンビジネスサービス株式会社 情報システム部は先ごろ、国内各社を対象とした経費精算システムにおいて、ISIDの次世代型経費精算システムCi*X Expense(サイクロス・エクスペンス)を導入しました。
パブリッククラウドに構築されたこのシステムは、経費精算業務のペーパーレス化、省力化、ガバナンス強化に威力を発揮しています。キッコーマンビジネスサービス株式会社情報システム部長の佐久間滋氏はCi*X Expenseについて「パッケージなので、豊富な標準機能や法改正に合わせた製品のバージョンアップはもとより、自社特有の要件を組み込める非常に高い柔軟性を有している点が、Ci*X Expenseの良さです。さらに申請数などの従量課金ではないため、年間コストが試算できる点も管理者にとっては重要でした」と評価しています。
国内22社で利用するシステム更新
Ci*X Expenseは使いやすさや、グループ全体の経費精算の申請数に依存しない料金体系はもとより、SaaS製品のような更新性も併せ持っています
キッコーマンビジネスサービス株式会社
情報システム部長
佐久間滋氏
「働き方が大きく変わるなか、システムも働き方に合わせて変更していく必要がある」キッコーマンビジネスサービス株式会社 情報システム部長の佐久間氏は当時の懸念をそう語ります。2021年、コロナ禍でテレワークが恒常化するなか、申請や承認のため社員が出社するような経費精算の在り方に佐久間氏は課題を感じていました。キッコーマングループでは、20年以上前からキッコーマングループ会社用に開発した経費精算システムを利用しており、紙面の証憑を使い申請から承認まで行っていました。
「申請者は、証憑を添付し押印した書類を承認者に提出をする。承認者は経費精算システムの入力内容と証憑の整合性確認をした後、システム承認と書類に押印をする。これらの証憑はファイリングして7年間保管する義務がある」と佐久間氏は旧システムの運用を語ります。「申請や承認のために社員が出社しなければいけないような経費精算のやり方は変えなければならないと感じていました」。
これに加え産業界では、電子帳簿保存法※1やインボイス制度※2など、法人経理の電子化と自動化を求められる流れも強まっていました。国内グループ企業22社のユーザーが日々利用する経費精算システムを時代の変化に合わせて刷新すべき時が迫っていました。
充実した標準機能と柔軟性を兼ね備えたCi*X Expense
「コストを考慮しなければ、既存システムを改修することもできましたが、ワークフローエンジンのパッケージソフトにスクラッチ開発をした既存システムは、都度改修を重ねており大規模改修のための要件定義・開発、テレワークに対応するためのスマートフォン用の画面を一から作り込まなければならない等、膨大な開発工数とコストが発生します」と佐久間氏はシステム刷新の決断の理由を話します。
市場には経費精算システムは多数販売されており、小規模事業者向けの手軽なものから複数事業を抱える大企業向けのものまで候補はさまざま。しかし、それらは必ずしもキッコーマングループのニーズに応えるものではありませんでした。
「スモールビジネス向けのシステムは手軽ですが、企業グループでの利用に適していない。一方で大企業向けのSaaS製品は申請数などに応じた従量課金のため年間コストを見込むのが困難であり、一方的な値上げ、準備期間が考慮されないバージョンアップなど不安要素がありました。従量課金の場合、グループ企業全体の経費精算証憑のボリュームがどれだけあるのか、今後どれだけ増えるのかも予測できず、コスト試算が難しい」と佐久間氏はそれぞれの難点を指摘します。
検討の結果、情報システム部が最終的に選択したのはISIDのエンタープライズ向けグループ経費精算システムCi*X Expenseでした。「Ci*X Expenseは使いやすさや、グループ全体の経費精算の申請数に依存しない料金体系はもとより、SaaS製品のような更新性も併せ持っているという印象でした」と佐久間氏は振り返ります。
11カ月で13社に展開
キッコーマングループ国内各社のシステムを統括するキッコーマンビジネスサービス株式会社の情報システム部と会計業務を担うシェアードセンターが協力し、2022年3月にCi*X Expenseをキッコーマンビジネスサービス株式会社に導入しました。「22社にもおよぶ大規模な展開の前に、導入に携わった両部門が所属するキッコーマンビジネスサービス株式会社に導入して、グループ会社に展開した際の課題を洗い出しておきたかった」と佐久間氏は話します。
キッコーマンビジネスサービス株式会社への導入を通じて課題を整理し態勢が整った3か月後の6月、キッコーマン食品株式会社にCi*X Expenseを導入。8月にはキッコーマン株式会社にもシステムを導入しました。以降も、10月に製造系グループ会社4社、2023年2月までにさらに6社を加え、11ヶ月で矢継ぎ早に13社への導入を完了させました。
信頼に応える支援サービス
この導入プロジェクトを要件定義から、設計、構築、ユーザー教育、周辺システムとのデータ連携まで幅広く支援したのはISIDでした。ISIDについて佐久間氏は「22社もの企業が絡む大規模プロジェクトを進めていくには、技術、サービス、ユーザー対応の力が備わったパートナーが欠かせません。その点、ISIDのチームは安定性がありこちらの信頼にも応えてくれました」と話します。
効率化、ペーパーレス、ガバナンス強化
わたしたちが新しい技術に挑戦していくときには頼りになるパートナーが必要です。そのときにはまたISIDの力をお借りしたいと思っています
キッコーマンビジネスサービス株式会社
情報システム部長
佐久間滋氏
2023年2月、グループ企業半数以上への展開を終え、佐久間氏はCi*X Expenseの導入メリットについて「スマートフォンを使っての隙間時間の活用・証憑電子化によるテレワーク対応・外部データ連携などの経費精算の効率化やコスト削減はもちろんですが、ガバナンス強化への効果も大きい」と明かします。
「証憑保存に関しては社内規定にあわせて、システムで制御できるようになり、誰もがその規定に沿った申請ができるようになりました。添付された証憑は出張者本人や承認者だけでなく監査や経理部門も閲覧可能なので、経費精算のルールに対する社内の意識も高まっていると思います」。
国内大企業の採用事例を多く持つCi*X Expenseは交通系ICカードやコーポレートカードとの連携によって入力の手間を軽減するほか、自社フォーマットにあわせて自動仕訳を行うツールCi*X Journalizer(サイクロス・ジャーナライザー)も導入。会計システム等周辺システムとも連携し、組織をまたいだマスタ管理や承認フローを実現しました。今回のプロジェクトでキッコーマングループはそのメリットを十全に活かす環境を構築したといえるでしょう。
成長を支える新しい技術を
「キッコーマングループはシステム投資に前向きな会社で、経営層も事業経営と情報システムは密接につながっているという認識を持っています」と話す佐久間氏。事業成長を後押ししていくため、今後も新しい技術の導入に積極的に取り組んでいきたいと抱負を語ります。
「AIを活用した経理業務の自動化なども考えられますが、それには国や産業界全体での請求フォーマットの標準化など官民一体の取り組みが必要になるかもしれません。実際、ヨーロッパではそうした流れが進んでいます。いずれにせよ、わたしたちが新しい技術に挑戦していくときには頼りになるパートナーが不可欠。そのときにはまたISIDの力をお借りしたいと思っています」。
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※1電子帳簿保存法:税務関係帳簿書類のデータ保存を可能とする法律。
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※2インボイス制度:正式名「適格請求書保存方式」。複数税率に対応したものとして2023年10月1日から開始される、仕入税額控除の方式。
2023年5月更新
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※記載情報は取材時(2023年1月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。