日本テレビ放送網株式会社

電通総研とのパートナーシップを軸に
ローコードによる内製化を推進

  • ノーコード・ローコード開発
写真左より 日本テレビ放送網株式会社 DX推進局 データ戦略部 リードスペシャリスト 川越 五郎氏、同部 主任 辻 理奈氏

日本テレビ放送網は、「共に新しい働き方を創造し、価値を創造する」というビジョンのもと、全社的なDXの取り組みを進めている。「全体最適」「開発効率の向上」「柔軟なシステム」「シームレスな環境」の実現をミッションとして掲げているが、これを推進する方法の1つに据えているのがローコード開発による内製化だ。電通総研をパートナーに迎え、アジャイルで効率的なWebアプリの開発に取り組んでいる。

川越 五郎氏 日本テレビ放送網株式会社
DX推進局 データ戦略部
リードスペシャリスト

辻 理奈氏 日本テレビ放送網株式会社
DX推進局 データ戦略部
主任


脱レガシーで変化への耐性を高める
そのためにローコードツールを採用

日本テレビ放送網は、全社的なDXを加速する手段としてローコード開発を取り入れている。「従来はレガシーシステムが乱立しており、業務変革を進める上では旧態化/属人化した仕組みを変えることが必要でした。放送業界を取り巻く環境が激しく変化している中、柔軟で変化に強いシステムをアジャイルに開発する方法を模索していたのです」と同社の川越 五郎氏は話す。

そこで採用したのが、ローコード開発プラットフォーム「OutSystems」のクラウド版である「OutSystems Developer Cloud」(以下、ODC)だ。

検討に当たってはビジネス/マネジメント目線とエンジニア目線の両面で評価した。「ビジネス目線では、経営が求める変革スピードとシステム構築の時間軸ギャップを解消できる点を評価しました。簡単にプロトタイプをつくっては修正していくアジャイルな進め方によって、システム実装プロセスを短縮しつつ、エンジニアがより価値の高い仕事に注力できるようになります。これにより、エンジニア主体の開発を推進していけると感じました」と川越氏は言う。

加えてエンジニア目線では、「Webアプリの作法から逸脱しておらず直感的に扱える」「汎用的なライブラリ作成が容易」「クラウドネイティブであり、マイクロサービスの思想に則っている」といった点を評価した。ただ、自社単独で製品を使いこなせるかとなると少々不安な面もあったという。そこで同社は、電通総研をパートナーに採用することにした。

「内製化においては、推進の核となるCoE(Center of Excellence)を組織することがポイントになりますが、電通総研はその支援体制が充実していました。また、OutSystemsの知見が豊富で、インテグレーション力も非常に高い。さらに、当時は新製品だったODCについてはまだ知見が少ないことを素直に認めた上で、当社と共に挑戦する姿勢を示してくれたことにも好感が持てました」(川越氏)


専門家の伴走型支援のもと
着実にローコード開発を推進

図 いくつかのフェーズに分けて段階的に内製化を推進

事前検証フェーズであるプランニング期を経て、立ち上げ期、内製開発、開発委託という段階を追って着実に取り組みを進めていった。その全体に電通総研が伴走している

内製化に向けた活動は、いくつかのフェーズに分けて段階的に推進していった(図)。

まず立ち上げフェーズでは、「ベースアップトレーニング」「アジャイルな開発体制の整備」「開発の標準化」の3点を意識したという。「内製化メンバーが一緒にスキルアップできる場をつくると同時に、開発業務における役割も明確に定義し、各メンバーが責任を持って意思決定できる体制を整えました。また、開発手順やドキュメントも標準化やフォーマット化を図り、特に基本設計以降のプロセスは小さい機能ごとに分割して、動くものを常につくり続けられるような体制を整備しました」と日本テレビ放送網の辻 理奈氏は説明する。

続く実際の開発推進フェーズではスクラム開発を推進している。ユーザーストーリーベースで要件定義を行うことで、業務全体の流れを把握。これによりクリティカルパスを可視化し、その課題を解決するためのPoCやタスクを優先順位の高いものから実施しているという。

また、パートナーである電通総研も開発チームの一員として内製開発をサポートしている。「基本/詳細設計のレビューから、個別案件の要点を踏まえたアドバイス、サンプルコードの提供まで伴走型の支援を提供してもらっています。非常に心強いですね」と辻氏は強調する。

さらに、一連の取り組みで築いた信頼関係が、その後の開発委託フェーズにつながった。内製でカバーしきれない範囲や技術的難易度が高い案件を中心に、電通総研への開発委託も行っているのだ。

中でも大きいのは、コンテンツ制作に関わる総合業務基盤の構築である。構築期間が5年を超える大規模プロジェクトだが、そのUI/UX部分をローコードで開発する方法を選択した。「電通総研には、全体最適を踏まえた形でその設計に取り組んでもらっています」と辻氏は話す。


想定を超えた電通総研の支援
内製化を推進する大きな力に

日本テレビ放送網の取り組みはこれからも続くが、既に多くの成果が得られている。

「まずODCについては、事前に想定した通りの効果が得られています。開発期間の短縮が図れているほか、エンジニア人材を本業に専念させることもできています」(川越氏)。中でもWebアプリケーション開発経験者に関しては、実装期間短縮の効果が大きく表れているという。「もちろん、全くの未経験者はそれなりに学習が必要ですが、これも経験を積むいいチャンスと捉えて生かしていく予定です」と辻氏は続ける。

また、電通総研の支援については事前の想定を大きく超えるものだったという。当初はQ&A対応など、あくまで外からサポートするレベルを想定していたからだ。「チャットツールを使って、社員同様にオープンに情報をやり取りしながらプロジェクトを進めています。ユーザーとパートナーの枠を超えた関係性を築けたことは、我々にとって大きなメリットです」と辻氏は述べる。

日本テレビ放送網の事例からは、内製化の推進においてパートナー選定がいかに重要かが分かる。ツールを検討する際は、パートナーのスキルや経験も踏まえて評価することが効果を引き出すカギになるだろう。

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