日銀決済流動性管理システム「Stream-R」の「SWIFT ISO20022対応オプション」を提供開始 ~SWIFTNetの電文フォーマットISO20022移行に対応~

  • お知らせ

ISIDは、金融機関向け日銀決済流動性管理システム「Stream-R(ストリームアール)」において、国際金融ネットワークであるSWIFTNet※1の電文フォーマットISO20022※2移行に対応した「SWIFT ISO20022対応オプション(以下 本オプション)」を開発し、このたび提供開始しました。

Stream-Rは、日本銀行が運営する日銀ネット※3の即時グロス決済(RTGS決済)※4に対応した決済管理システムです。各金融機関が日銀ネットを通じて行う当座預金や国債、外国為替等の決済に関するプロセスの統合的な管理を実現します。外国為替円決済業務においては、SWIFTNetと日銀ネット間の決済に関する電文送受信や、取引管理、残高管理などを行っています。

背景

SWIFTNetを運用する国際銀行間通信協会(SWIFT)は、現在、SWIFTNetに採用している電文フォーマットを固定長形式であるMT(メッセージタイプ)フォーマットから、XML※5形式であるISO20022 Ver.8フォーマット(以下 新フォーマット)へ移行を進めており、2022年11月から本格利用を開始する予定です。新フォーマットはMTフォーマットと比べてより多くの項目を有し、高い柔軟性と拡張性を持つため、送金元や送金先の個人特定などが容易でアンチマネーロンダリングの観点でも有用と期待されています。
一方、日銀ネットの電文フォーマットは、現時点で新フォーマットに対応しておらず、移行時期も未定であるため、外国為替円決済業務を行う金融機関は新フォーマットの本格利用に際し、MTフォーマットと新フォーマット間の差異を埋めるため個別対応が必要となります。
ISIDはこの状況を受け、Stream-Rにおいて、新フォーマット移行により追加された項目に対応したデータ連携を実現するため、本オプションの開発に至りました。

本オプションの概要

Stream-Rは、外為勘定系システム※6および日銀ネットゲートウェイシステム※7と接続しており、両システムとのインターフェース項目を独自に定義することで、SWIFTNetのMTフォーマットと日銀ネットのISO20022 Ver.3フォーマット間の差異に対応しています。
本オプションでは、SWIFTNetにおける新フォーマット移行で追加された項目へ対応し、日銀ネットとのデータ連携を可能とするため、両システムとのインターフェース改修等を行いました。これにより、決済ネットワーク上でデータ欠落することなく決済情報の連携が可能となります。

<Stream-RにおけるSWIFTNetのISO20022移行対応イメージ(2025年11月までのMT/新フォーマット併存期間)>

なお、本オプションの提供開始に先立ち、一部のユーザー向けに導入を開始しています。ISIDは、今後もStream-Rの機能強化・改善を通じて、金融機関の決済業務の高度化・効率化を支援し、日本の決済システムの発展に貢献してまいります。

  • ※1
    SWIFTNet:SWIFTは、Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunicationの略で、国際金融取引に係る事務処理の機械化、合理化および自動処理化を推進するための協会です。SWIFTNetは、SWIFTに参加する銀行間の国際金融取引に関するメッセージをコンピュータと通信回線を利用して伝送するネットワークシステムのことです。
  • ※2
    ISO20022:国際標準化機構(ISO)で制定された、XMLを主要なデータ記述言語として利用する、金融通信メッセージの国際規格です。
  • ※3
    日銀ネット:日本銀行金融ネットワークシステムの略で、日本銀行とその取引先金融機関との間の資金や国債の決済をオンライン処理により効率的かつ安全に行うことを目的として構築された、日本銀行が運営しているネットワークのことです。
  • ※4
    即時グロス決済:Real-Time Gross Settlement(RTGS)は、中央銀行における金融機関間の口座振替の手法の一つです。時点ネット決済とは異なり、ある金融機関の不払いがどの金融機関への支払いの失敗であるかが必ず特定され、その他の金融機関の決済を直ちに停止させることがありません。
  • ※5
    XML:Extensible Markup Languageの略で、基本的な構文規則を共通とすることで、任意の用途向けの言語に拡張することを容易としたマークアップ言語のことです。「タグ」と呼ばれる特定の符号により、文章に構造を埋め込んでいくのが特徴です。
  • ※6
    外為勘定系システム:外国送金、輸出入関連取引、為替予約など外国為替業務に関する勘定処理や取引処理、外貨預金などを行うシステムのことです。
  • ※7
    日銀ネットゲートウェイシステム:取引先金融機関側と日銀ネットを接続するためのシステムのことです。
  • 本稿に記載された会社名・商品名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。

参考資料

Stream-Rは、日本銀行の運営する大口決済システムである日銀ネットのRTGS決済に対応した決済管理システムです。各金融機関における日銀ネット上の当預、国債、外為の決済に関して、残高管理、決済送信、リコンサイルといった一連のプロセスの統合的な管理を実現します。ユーザー間での共通要望への対応や、個別ニーズへのカスタマイズ対応も実施しており、お客様のニーズへのきめ細やかな対応が可能です。

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社電通総研
金融ソリューション事業部 営業企画部
E-mail:g-fin-info@group.dentsusoken.com

本件に関するお問い合わせ先

株式会社電通総研
コーポレートコミュニケーション部 金野、赤瀬
TEL:03-6713-6100
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