ISID、ブリヂストンとAI画像診断を用いた「パラゴムノキ」の高精度病害診断技術を共同開発 ~ディープラーニング技術を活用した根白腐病の罹病木判定に成功~

  • プレスリリース

株式会社電通国際情報サービス

株式会社電通国際情報サービス(本社:東京都港区、代表取締役社長:名和 亮一、以下ISID)のオープンイノベーションラボ(以下イノラボ)は株式会社ブリヂストン(以下ブリヂストン)と共同で、パラゴムノキ※1の深刻な病害である根白腐病(読み:ねしろぐされびょう)※2を診断する技術を開発し、罹病した木を高精度で見分けることに成功しました。ISIDが持つAI画像診断技術と、ブリヂストンのインドネシア農園スタッフが持つ病害判定(罹病木判定)に関する「暗黙知」を融合させた高精度病害診断技術により、根白腐病の早期発見・治療を可能とし、ゴム農園の生産性向上に貢献します。

共同開発の概要

パラゴムノキの根白腐病は、放置すると木が枯れてしまう深刻な病害です。木の根元部分に発症するため効率よく発見することが難しく、これまでの病害診断は、罹病木に表れる葉のつき方や色味など「葉群」の特徴を農園スタッフが総合的に判断し、罹病木と判定されたものを掘り起こして行っていました。そのため、診断の精度はスタッフ個人のスキルによってバラつきがありました。
今回開発した高精度病害診断技術は、ブリヂストンの農園スタッフの「暗黙知」であるパラゴムノキの「葉群」に注目した罹病判定をISIDの画像解析AIに学習させています。そこにドローンで空撮した農園の俯瞰画像を取り込み、撮影データに基づく地理情報から、広域な農園内から罹病木を迅速かつ高精度に見つけ出すことに成功しました。ブリヂストンのインドネシア農園で本技術の運用試験を開始し、これまで農園スタッフの熟練度によって精度にバラつきのあった罹病有無の判定を、品種や樹齢に関係なく約90%の精度で実施可能であることを確認しています。罹病木の早期発見・治療により、収量に影響が出る前の早期に根白腐病の罹病木に手当てすることができ、ゴム農園の生産性向上が可能となります。

本技術の仕組み

本技術では、広域な農園から罹病木を特定するために、ドローンによる空撮画像データを活用しました。一般に上空からの空撮画像は、画像サイズが小さく、葉単体の罹病の特徴を捉えることが難しくなります。そこで、“葉の垂れぐあい”や“葉の色ムラぐあい”など葉群を全体的に捉え、その特徴に注目し、教師データとしました。AIの手法にはディープラーニングによる物体検出を採用することで、罹病葉群を高精度に特定することに成功しています。本取り組みでは、さらに、品種や樹齢、季節など様々な条件を変えて精度検証を繰り返し、以下の仕組みを構築しました。

① 撮影
農園をオートパイロットで空撮
② 解析
ドローンで撮影した画像をPCに取り込み、ディープラーニング技術で罹病葉群を検出
③ 結果出力
罹病木の検出結果をタブレットに転送し、罹病木探索アプリ地図上に表示
④ 罹病木探索
罹病木探索アプリを使い、罹病木を探索・処置する
  • ※1
    パラゴムノキ:トウダイグサ科パラゴムノキ属の常緑高木。幹を傷つけて得られる樹液は天然ゴムの原料となる。東南アジアの熱帯地域を中心に栽培が行われている。
  • ※2
    根白腐病:糸状菌の一種であるパラゴムノキ根白腐病菌(Rigidoporus microporus、ネッタイスルメタケ)が引き起こす病気。根に感染し組織を腐敗させることで枯死に至らしめる。感染初期の発見が困難。現状では抜本的な対策がなく、発症した場合、罹病部位の切除、薬剤処理により対処する。

ご参考資料

ISID のオープンイノベーションラボは、「AI」「xR」「ブロックチェーン」などの先端技術による社会課題の解決を目指し、企業や教育機関等と協働で技術研究やサービス開発に取り組んでいます。2019年には社会構造の変化を背景に、熟練の職人が持つ“技能継承”が課題となっている様々な産業において、その技能を人工知能をはじめとしたテクノロジーで継承する取り組み「プロジェクト 匠テック」を開始、本プロジェクトもその一環として取り組んでいます。

本プロジェクトに関するお問い合わせ先

株式会社電通総研
X(クロス)イノベーション本部 オープンイノベーションラボ 森田・藤木・増本
TEL:03-6713-6098
E-mail:g-info-innolab@group.dentsusoken.com

本リリースに関するお問い合わせ先

株式会社電通総研
コーポレートコミュニケーション部 赤瀬、金野
Webからのお問い合わせ

スペシャルコンテンツ