総合家電メーカー様 これまでの商品の延長線上にない3~5年先を見据えた「新しい価値」の創造

  • ものづくり

これまでの要素技術開発は技術的な方向性やトレンドによってのみテーマが決められており、必ずしも顧客ニーズにマッチしたものになっていませんでした。
また、製品開発を行う事業部は直近の開発に追われて、中長期的な視点での取り組みができておらず、競合とのスペック・価格競争に陥っていました。

目指すべき中期的な価値の方向性の合意
①「場面」に着目した顧客の潜在ニーズ探索

顧客ニーズを知ろうとすると、一般にはアンケートやインタビューなどの調査手法をとることが多いです。 これらの手法は現状製品の改善点を知るには有用な手法ではありますが、その延長線上以外のモノが出る可能性は低く、新規開発テーマの探索(新たな価値を持つモノの開発)にはその効果を発揮しづらいです。 本プロジェクトでは製品そのものではなく、顧客が製品を使っている「場面」に注目し、その中でどういった潜在ニーズがあるか、ITIDが持つ独自のフレームを活用し探索を行いました。製品の枠を取って考えることにより、これまでの開発テーマでは見られなかったような幅の広いニーズ(潜在ニーズ)を抽出することができました。

②顧客に提供していくべき価値の創造

図:ITIDが提供する市場データ例

今後開発していくモノを考える際に現在の市場ばかりにとらわれていては、製品を販売するころには陳腐化してしまうおそれがあります。それを回避するためには、数年後を予測することが必要となりますが、未来の市場を完璧に予測することはできません。 ただ、どんな変化にも兆候があり、それを的確にとらえることにより、予測の精度をあげることができます。また、市場を考える際にはそのまわりの環境を考えることも必要です。 政治や経済、地球環境や技術トレンドなど、市場を取り巻く環境の変化を、ITIDがデータベースとして持つ様々な市場データから複数の未来環境予測を提示しました。

図:K-Matrix法(イメージ)

ここまで考察してきた顧客の潜在ニーズと未来環境予測から、「K-Matrix法※」を用いて「未来の顧客に対して提供すべき価値」をワークショップ形式で発案しました。これにより、これまでの延長線上ではない多くの価値を創造しました。

  • K-Matrixとは、世の中のヒット商品コンサルティングコンサルティング事例 とコンサルティング実績からITIDが独自に考案した発想手法です。

③未来の顧客に対して提供すべき価値の社内合意

図:今後会社が進むべき方向を示す「地図」
(価値ロードマップ)例

要素技術開発、製品開発、マーケティングは三者一体となって製品開発が進められるべきではありますが、それができている会社は少ないです。 それには様々な要因がありますが、一つの要因として、時間軸のずれがあげられます。変化の激しい現在においては、この隔たりが製品開発のスピードを妨げる阻害要因になりかねません。 本プロジェクトにおいては、これらの三者が一同に介し、提供する価値の方向性について合意しました。 まず②で発案した価値について、市場規模や将来性、会社の資産や理念との合致度等を考慮し、絞り込みを行います。 さらにこの絞り込まれた価値を内容からグルーピングし、それぞれどの時期に上市すべきか検討を重ね、未来の顧客に対して提供すべき価値の方向性を「価値ロードマップ※」にまとめました。

  • 価値ロードマップとは、今後会社が進むべき方向を示し、要素技術開発ロードマップや、製品開発ロードマップを考える際に指針となる「地図」です。策定段階でITIDのコンサルタントが持つノウハウを詰め込んでいます。

部門の壁を越えた新しい価値の創造

要素技術開発、製品開発、マーケティングの3者が自社として目指すべき中期的な価値の方向性、それも既存の延長線上ではなく、新しい価値を創造し、合意した効果は大きいです。
これまで動くまでに多大な労力を要した社内の壁が取り払われ、このメーカーは新たな第一歩をスタートさせました。このメーカーから「顧客が喜び、売れる」製品が発売される日は近いです。
「顧客志向」を目指すことはビジネスを行う上では当たり前のようで、実際に具体化することは難しいです。商品開発に携わる現場は、どうしても現状の製品や競合他社の機能にとらわれてしまいます。また、新しい価値を思いついたとしても、他の部署との協力なしに商品を作ることはできず、実現されずに消えてしまうことも多いです。
本プロジェクトでは、ITIDのもつフレームワーク「K-Matrix」や「価値ロードマップ」を作成する過程において、会社が提供するべき価値について、要素技術開発、製品開発、マーケティングの3者がそれぞれ考え、共通の認識を持つに至りました。意識を統一させたことにより、今後開発に課題が見えた時も協力して乗り越えることが可能となりました。

  • 記載情報は取材時(2013年9月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。
  • 2024年1月1日に電通国際情報サービス(ISID)、アイティアイディ、ISIDビジネスコンサルティングは、電通総研へ商号変更しました。
    社名、サービス名、その他の情報は発表当時のものです。あらかじめご了承ください。

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