名古屋銀行 統合事務管理システム導入で南通支店(中国)の業務プロセス改革を加速
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地銀のなかでもいち早く中国市場に目を向けてきた名古屋銀行。1986年に江蘇省の工業都市南通(なんつう)に駐在員事務所を開設、2011年には同事務所を南通支店とし、2017年には人民元取扱許可を取得。中国に進出した自動車部品メーカーなど日本企業の事業活動を支えてきました。
人民元取扱許可の取得後、預金や融資など金融サービスの件数は飛躍的に増加。このニーズに対応するため、同支店では、2020年12月にISID上海が開発した金融機関海外支店向け統合事務管理パッケージiConnectStation(iCS)を導入しました。iCSは顧客情報や取引情報を一元的に集約し、勘定系システムや金融当局への報告システムと連携することで、従来各システムに別々に行っていたデータ入力や確認等の業務負荷を大幅に軽減。勘定系システムでは保持していない情報もiCSで保持することができ、複雑化する金融当局への報告要求にもタイムリーに対処することができるようになりました。
名古屋銀行南通支店次長の伊藤裕人氏は、「iCSの導入により、現場の作業負荷が半減しました。取引案件が増えても、業務プロセスが円滑に進み、サービスの質を保つことができます」と話します。
人民元取扱許可で仕事量が激増
南通は上海に近く、天津や蘇州に並ぶ工業都市。自動車部品や電子機器などの日本メーカーが数多く進出しており、名古屋銀行南通支店はそれら日系企業の金融ニーズに幅広く応えてきました。
「当初は預金や融資の件数も急激には増えませんでしたが、2017年、人民元の取扱許可を取得後は件数が激増し、仕事のボリュームが一気に4倍近く膨れあがりました」と話すのは同支店の業務系ITシステムを統括する伊藤氏。「もともと人民元での金融サービスには潜在的ニーズがありましたので、それが一気に押し寄せてきた印象です」。
ビジネスとしてこれは歓迎すべき大波でしたが、業務現場には懸念もあったと伊藤氏は打ち明けます。「このまま取り扱いが増え続ければ、作業負荷が高まることでサービスの質の低下につながりかねず、お客様にご迷惑がかかる前に業務プロセスを改善する必要があると思っていました」。
煩雑なプロセス、高まる作業負荷
GBSⅡへの入力伝票の打鍵から解放され、繁忙日の作業負荷が大きく低減するとともに、業務品質が向上しました
名古屋銀行 南通支店 主管 王菲氏
南通支店は南通のみならず上海、天津、広州、蘇州など中国の主要工業都市にある日本企業向けに口座開設、預金、送金、融資、市場為替といった金融サービスを提供しています。「それぞれに取引受付、コンプライアンスチェック、書類保管、手数料管理、勘定記帳、そして金融当局への事務報告といった多くの関連作業が付随しています」と伊藤氏は説明します。
関連作業をこなすため、同支店は勘定系システム「GBSⅡ」や当局報告システム「IRIS」などのシステムを複数導入していましたが、システム間連携がないため、同じ内容でもそれぞれのシステムに入力する必要があり、取引数が増えるにつれて業務負荷も高まっていました。
「勘定記帳にしても、伝票データを作る人、入力する人、それを帳票で確認する人、そしてさらにそれを承認する人が必要で、1件のオペレーションにかなりの人手がかかっていました」と伊藤氏は話します。「また、金融機関の責務として、金融当局への報告も丁寧に行う必要があるため、事務作業の効率化が課題でした」。
シームレスな連携、現場の生産性向上
複数のシステムから適切なデータを一元的に抽出できるので、当局への事務報告も迅速に行えます。
名古屋銀行 南通支店 経理 郭笑亮氏
こうした状況を打開するため、2019年、同行本部と南通支店はGBSⅡの提供者であり運用保守を担当するISIDに相談を持ちかけました。それに対応しISIDは現地法人であるISID上海とともに南通支店の業務生産性を高めるためiCSの導入に着手しました。
iCSはISID上海が開発した統合事務管理システムです。ユーザーに親しみやすいインターフェース、柔軟に承認ステップを設定できるワークフロー機能、周辺システムとの自動連携機能を備えており、銀行の海外拠点における事務負荷とコンプライアンスリスクを低減します。勘定系システムでは管理していない融資先の詳細な情報などを保持することが可能であるため、当局からの個別の要求にも迅速柔軟に対応することが可能です。
コロナ禍で中国国内の日常活動が数ヶ月ストップするなか、ISID上海は要件定義からシステム設定、他システムとの連携機能の開発、機能検証までのすべての工程を指揮し、2020年12月、プロジェクトを無事完遂させました。
南通支店で事務を担当する王菲氏は、iCS導入の効果について「以前は月末繁忙日にGBSⅡへの伝票入力が事務担当に集中して残業が積み重なっていましたが、iCS導入後は、担当者が記録した情報から必要な項目がGBSⅡに自動で連携されるので、伝票入力の負荷が大きく低減できました」と話します。 さらに、バックオフィス事務の現場責任者である経理の郭笑亮氏は、iCSは当局報告にも力を発揮すると言います。「以前は複数システムや紙の帳票など情報が分散しており収集が大変だった当局報告用のデータが、iCSで一元的に抽出できるようになったので、銀行業務だけでなく当局への報告書作成も迅速に行えるようになりました」。
また伊藤氏は「iCSはさまざまな権限をより厳格に管理できるため、中国金融監督当局の外資銀行支店の事務管理とデータガバナンス管理に対する要求を遵守するのにも役立っています」と話します。
作業負荷が半減、さらにシステム拡充へ
現場の作業負荷が半減しました。ISID上海のサポートなしでは、このような成果を出すことはできませんでした。
名古屋銀行 南通支店 次長 伊藤裕人氏
今回のプロジェクトの成果について「現場の作業負荷が半減した」と話す伊藤氏。「取引案件が増えても、業務プロセスが円滑に進めばサービスの質を保つことができます」と自信をのぞかせます。
南通支店は、今後さらに中国における顧客の金融ニーズに寄り添い、事務作業の負荷軽減によって顧客応対の品質向上を図るとともに、顧客チャネルの強化を推進していくと話します。「iCSでデータが集約できたことで、マネー・ロンダリング対策のための顧客情報照会業務なども一部自動化できるかもしれません。さらに、業務負荷が軽減したことで、インターネットバンキングなど新たなサービスの展開に人員を振り向けることも考えられるでしょう。ISID・ISID上海と共に中国における日本企業の発展に貢献していきたいです」。
2021年6月更新
- 社名
-
株式会社名古屋銀行
- 本店所在地
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名古屋市中区錦三丁目19番17号
- 創業
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1949年
- 資本金
-
250億円 *
- 総資産(連結)
-
4兆9,127億円 *
- 貸出金
-
3兆1,706億円 *
- 預金等
-
4兆98億円 *
- 従業員
-
1,839名 *
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*2021年3月31日現在
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※記載情報は取材時(2021年3月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。