トールエクスプレスジャパン株式会社 UiPathの導入で120業務を効率化 年間10,000時間の削減を達成
- 業務・プロセス改革
- RPA
日本郵政グループとして、国内を中心とした物流サービスを展開するトールエクスプレスジャパン。2019年、同社は管理系の定型業務を効率化し、より現場支援に注力できるような環境(体制)づくりを目指して、RPA導入プロジェクトを立ち上げます。
トライアル使用を経て採用したRPAツールは、ISIDが提案するUiPathでした。
「UiPathの良さはロボットの開発、運用がしやすいことに加え、AI-OCR等の自動化ツールや基幹システムとシームレスに連携できることでした。また、ISIDは大規模案件の実績が豊富で、そのノウハウをユーザー向けのドキュメントやツールとして整備・提供していることに魅力を感じました」そう話すのは同社RPA推進プロジェクト アシスタントマネージャーの本田未央氏。
UiPath導入にあたっては、エンドユーザーコンピューティングを採用し、ユーザー自らロボット開発を行うことを前提にプロジェクトを推進。結果的に120業務でロボットを開発し、削減した作業時間は年間10,000時間にものぼりました。
「業務を効率化し、捻出した時間を創造的な業務に充てる。UiPathは私たちの事業である輸送自体に良い効果をもたらしてくれているのです」と同社RPA推進プロジェクト マネージャーの尾崎光生氏は語ります。
RPA導入の専門チームを立ち上げる
1938年の創業以来、80年以上にわたり幅広い物流サービスを展開するトールエクスプレスジャパン。2015年には日本郵政グループの一員となり、そのシナジー効果から、小口輸送から大口輸送までより柔軟に対応できるようになるなど、独自の強みを発揮しています。
2019年、働き方改革の一環としてRPA導入の企画が立ち上がります。本社管理部門を中心にヒヤリングを実施したところ、多くの社員から「ルーティン業務に追われ、なかなか新しい取り組みに手がかけられない」という声が寄せられたのです。
「RPA化の余地が多くあり、導入効果は高いと考えました。日々の業務を効率化することで、より現場へのサポートに注力できるような体制にし、現場力を高めたいという経営陣の狙いもあり、専門のプロジェクトチームを立ち上げることになったのです」と尾崎氏は語ります。
そのプロジェクトチームに、アサインされた本田氏は、RPAツールの選定を任されることになります。
「RPAの推進のため、ユーザー自身がロボットを開発するエンドユーザーコンピューティングを採用することにしました。そのため、選定には画面の見やすさや開発・運用のしやすさを重視しました」(本田氏)
それらの条件をクリアし、最終的に決定したのがUiPathです。懸念したのは、機能が豊富できめ細かな制御ができる反面、複雑な工程の自動化には一部プログラミングの概念を理解する必要があること。その点について本田氏は、「社内教育で十分にクリアできると考えました」と説明します。
多数の導入実績のあるISIDのナレッジが役立った
ゼロから作成したテキスト教材は、ISIDのサポートなしでは完成しなかったと思います
RPA推進プロジェクト アシスタントマネージャー 本田未央氏
導入パートナーとして選んだのはISIDでした。その理由について、尾崎氏は次のように語ります。
「UiPathのリセラーの中でも、特に関西での導入実績が多かったこと、関西に開発体制が整えられていたことが挙げられます。また、これまでの実績で培ったUiPathの運用や開発に関するツールやドキュメントを多く有していた点も大きな決め手となりました」
実際に、プロジェクト推進中はそのナレッジに助けられたと言います。
「私たちは、RPAをシステム開発ツールではなく、社員が当たり前のように利用する表計算ソフトのような業務効率化ツールと捉えて展開しました。しかし、RPAは自由度が高いツールゆえ、開発を全てユーザー任せにすると、決裁の最終承認や外部へのメール送付にも使えてしまいます。敷居を下げる一方で、最低限の開発・運用ルールを整え、ガバナンスを保つことも重要です。そこで、管理サーバを導入し、ロボットを一括管理することにしました」
同社に合うシステム構成は決まったものの、同様の形態でRPAを推進している事例が見当たらず、何から進めていいか、どういう点に気を付ければいいかが分からなかったと続けます。
「ISIDはプロジェクト全体の進め方だけでなく、他社で問題になった点や、それを引き起こさないための解決策などを事前に教えてくれたので、リスクを回避することができました。ドキュメントのサンプルやツールなども提供してもらったので、スムーズにプロジェクトの推進計画を立てることができたことも大変助かりました」(尾崎氏)
本田氏はユーザーにロボットを開発してもらうための、社内の教育体制を整備しました。
「テキスト教材にどこまでの内容を盛り込むか、初心者としてつまずきやすい点はどこかなど、ISIDの助言を元に作成しました。まったくのゼロからだったので、サポートがなければ完成できなかったと思います」(本田氏)
各部門から1名以上を選出してもらい、教育プログラムを実施。その結果、自身でロボットを作成できる社員が徐々に増えていきました。
質の高いサポートで、ロボット開発を加速
同社はロボットを開発していく中で、ISIDが提供するサポートサービスも積極的に活用しました。
「質問した内容への回答だけでなく、難易度が高いロボットにはサンプルまで作って返してくれました。また、一つの困りごとに対し、『それならここも困っていませんか』など、こちらが求めている以上の情報提供があり、大変質の高いサポートをしてもらったと感じています」と本田氏は話します。
120業務をRPA化、10,000時間の削減を達成
こちらが求めている以上の情報提供があり、大変質の高いサポートだと感じました
RPA推進プロジェクト マネージャー 尾崎光生氏
UiPath導入の結果、120の業務に対してロボットが作成され、削減できた作業時間は年間10,000時間にものぼるそう。さらに、人的ミスがなくなったので、ミスのリカバリーにかかっていた時間も大きく削減。異動の際の業務の引き継ぎもロボットの操作を伝えるだけで済むようになり、負荷が軽減されたといいます。
尾崎氏は、当初の狙い通り、業務効率化だけでなくコア業務へのシフトが進んでいるとも話します。
「例えばレポート作成の自動化一つとっても、現場力強化につながっていると感じます。これまで社員が出社してから作成していた、前日の輸送実績レポートも、今ではUiPathによって朝には作成が終わっているので、支社長がレポートを確認して内容を分析、朝のミーティングで指示出しができるようになりました。UiPathは私たちの事業“輸送”にも良い効果をもたらしてくれているのです」
本田氏はUiPathの定着により嬉しい誤算があったとも話します。
「UiPathが社内に認知されるに従って、『これができるなら、今までやりたいと思っていたこれもできるんじゃない?』というような声が現場から上がるようになっています」
業務効率化だけでなく、現場力向上を目指す
大きな成功をおさめた今回のプロジェクト。その秘訣は何だったのでしょうか。
「RPAはツールを導入して終わりではなく、社員に定着させ使い続けてこそ意味があります。そのためになるべく敷居を低く感じられるよう教育体制を整えた結果、多くの社員が自身でロボット開発ができるようになり、大きな成果へとつながりました。また、今回のプロジェクトは『業務効率化』だけではなく、『現場力の向上』が目的だと繰り返し伝えました。業務効率化だと自分自身の仕事がなくなるように感じる人もいると思います。しかし、私たちが目指したのはそこではありません。現場が強くなるために、ロボットに任せられることはロボットに任せ、自分たちにしかできない仕事をしようと。その想いが社員にしっかりと伝わった結果が出たと思います」 と尾崎氏は説明します。
2021年4月、RPA推進プロジェクトは当初計画していた全工程を終え、次のフェーズへ移行することとなります。
「今後は、UiPathの教育を受けた社員一人ひとりが現場に入り、より細かな声を聞いて、さらなる業務効率化、現場力向上を目指す段階にきました」と本田氏は期待を込めます。
「まだまだUiPathは発展途上のツールだと思っています。今は作業を自動化するだけですが、AI等の先進技術が搭載されれば、もっと高度なことができるようになるはずです。ISIDには、これからも最新情報を提供いただき、サポートをお願いできればと思っています」(尾崎氏)
2021年5月更新
-
※UiPathはUiPath社の米国およびその他の国における商標です。
-
※記載情報は取材時(2021年3月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。
お問い合わせ
株式会社電通総研 コミュニケーションIT事業部 SI営業部
E-mail:g-rpa-info@group.dentsusoken.com