大学1・2年生向けに、キャリア教育プログラム「【近畿大学×ISID】キャリアコンパス 〜未来への道しるべを描こう〜」を開催
2023年9月、近畿大学において、3日間にわたるリアルイベント「【近畿大学×ISID】キャリアコンパス 〜未来への道しるべを描こう〜」を開催しました。
ISIDは、「学生が就職活動を本格的に始める前のフラットな状態で、自身のキャリアについて考える機会を設けることで、将来の可能性を広げてもらいたい」という思いで、2018年頃から様々な大学の低学年向けにキャリア教育プログラムを実施しています。
近畿大学向けに行ったキャリア教育プログラム(以下、キャリアコンパス)では、4〜5名のチームごとにエンプロイー・ジャーニーマップ(補足説明)の作成と、新しい価値を創造するソリューションの提案を行ってもらいました。
今回、近畿大学キャリアセンターの木村さん、イベントに参加した2名の学生(川崎さん・中埜さん)、そしてISID採用チームの伊藤謙介、キャリアコンパスのプログラム開発を担当したHCM事業部の小菅優太で行った座談会の模様をお届けします。
低学年向けのキャリア教育とは
伊藤:多くの学生は3年生になってから就職活動を始めると思うのですが、その頃にはすでにいろいろな先入観を持ってしまっていると思うんですね。文系だからIT企業やメーカーに入るのは難しいんじゃないかとか。それってすごくもったいない。低学年のうちにもっと視野を広げられたら、学生生活を過ごす上での意識も変わり、充実した社会人生活を送るための土台ができるのではないかという思いで、ISIDではキャリア教育の取り組みをしています。
木村:就職活動が早期化している中で、早くから学生に行動してもらいたいという思いから、本学でも1年生や2年生向けにキャリアガイダンスを行っています。また、就業体験プログラムという、大学と提携した企業で就業体験をさせていただく取り組みに低学年でも参加できる仕組みを用意しています。
一方で、低学年向けに就職活動への焦燥感を植え付けてしまうのは、我々の本意ではありません。まずは学生生活をしっかり満喫してもらいたい。その辺りの伝え方やバランスの取り方に難しさを感じていました。また、これまでの施策はどれも単発の取り組みになっていて、低学年向けのキャリア支援を総合的に確立できているわけではないという課題がありました。
近畿大学×ISIDのキャリアコンパスが実現した背景
伊藤:今回キャリアコンパスの実施を決めた理由を教えていただけますか?
木村:低学年向けのキャリア支援として流れを確立していくなかで、良いコンテンツになるのでは、と思ったのが理由のひとつ。加えて、企業とコラボレーションしたイベントを提供することが、学生にとってすごく大事だと思っているからです。その中でもISIDは、これまで近大生の採用実績もありますし、何度かお話させていただく中で、学生によい支援を届けたいという前向きな思いが我々と共通していて、ぜひ一緒に取り組みができたら嬉しいと思いました。
伊藤:それはうれしいですね。今回、近畿大学向けのキャリアコンパスを行うにあたり、小菅さんにプログラム開発の協力をお願いしましたが、普段は自社パッケージの製品開発に従事している中、なぜ協力しようと思ってくれたのでしょうか。
小菅:私が所属しているHCM事業部が今年から掲げているパーパスが、【ヒトを信じ、日本の「はたらく」を変える】なんです。事業活動としてはシステムを開発してお客様に導入することでそれを実現しようとしていますが、大局的な視点で見ると、私たちの取り組みによって学生たちの「はたらく」が変わり、将来、社会に大きく羽ばたいてもらえると、巡り巡って私たちのパーパスを達成できるのではないかと。そうした人材育成のお手伝いができるのであれば、ぜひやらせていただきたいと思いましたし、部署のメンバーや上司もポジティブに応援してくれました。
低学年の今だからこそ知ってもらいたい本当の自分
伊藤:今回はエンプロイー・ジャーニーマップを軸に、新しい価値を創造するソリューションを考えようというプログラムでしたが、この内容はどのように決めたのですか?
小菅:メイン部分は、実際のHCM事業部の新人育成プログラム(※)をもとに学生向けにアレンジしました。事前課題としてモチベーショングラフを作成してもらい、それをエンプロイー・ジャーニーマップと紐付けたのですが、その点に関しては、以前、私の後輩の悩みを解決した経験が基になっていて。「自分のやりたいことがわからなくなった」と悩んでいる後輩に、ホワイトボードを使って、過去の経験を振り返ってもらったんです。すると、「自分自身でも認識していなかった思いや価値観に気づくことができて、とてもよかった」と喜んでもらえたんですね。そうした自分のルーツから思いを探ってビジネスにつなげていくという体験は、学生に対しても意義のあるものになるのではないかと考えました。
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(※)
伊藤:たしかに、今回のプログラムは低学年の学生たちに、自分の価値観に気付いてもらうには、すごく良いものだったと思います。プログラムを開発する上では、私も一緒に何度も議論を重ねながら進めていきましたが、どんな点が難しかったですか?
小菅:チームによって参加する学生のバックグラウンドが違ったところですかね。ITというと、どうしても理系の学生が有利という先入観を持つと思います。そこで、文系の学生には「文系でも活躍できるんだ」、理系の学生には「文系の視点も重要なんだ」と理解してもらうことを重要視しました。具体的には、各チームにISID社員がメンターとして付き、文系と理系それぞれの観点からアドバイスを行い、両者の物事の捉え方の違いに気づき、尊重し合いながら協働することの意義や、面白さを実感できる環境を整えました。
キャリアコンパスでいつもと違う自分に出会えた
伊藤:キャリアコンパスに参加していただいた経済学部の川崎さんと情報学部の中埜さんにもお話を聞いてみたいと思います。参加されたきっかけや、キャリアコンパスを通じて得られたことなどがあれば教えてください。
川崎:最近、大学のプログラミング論という授業でIT系に興味を持ち始めていたところに、大学から今回の案内メールがあり、参加してみることにしました。大学の授業で行うグループワークでは、活発な意見交換がないまま、ほとんど自分の意見だけでアウトプットが完成してしまうこともありました。でも今回は「仕事」としてとらえるグループワークだったので、全員がそれぞれ自分の意見を出して、話し合いながらひとつにまとめていく体験ができたので、とても楽しかったです。
中埜:私はもともとIT関連の仕事に就きたいと思っていて、いろいろと情報収集をしているなかで、キャリアコンパスのことを知りました。大学の授業で行うグループワークでは、リーダー役になる人が他にいて、私はついていくだけ、ということが多かったのですが、今回は自分が率先してチームを引っ張ってみようと思い取り組みました。メンバーが積極的に参加してくれて、良い経験になりました。
伊藤:来年から本格的に就職活動が始まるわけですが、今回キャリアコンパスに参加してみて、何か意識が変わったことはありましたか?
中埜:キャリアコンパスで行った「課題に対する解決策を考えて、さらに出てきた課題に対して解決策を考える」という、どんどん深掘りしながら精度を上げていくワークがすごく楽しかったので、これからもおもしろそうな就活イベントがあれば参加していきたいなと思いました。
川崎:就職活動に対しては、キャリアセンターから発信された情報を受け取るという受け身の姿勢では遅いこともあると思うので、これからはもっと自発的に動いていこうと思いました。あとグループワークについては、今回の経験を生かして、もっと周りをよく見ながら、みんなが意見を出しやすい環境づくりをがんばっていきたいなと思いました。
今後に向けて
伊藤:では最後に、今後の開催に向けて、木村さんと小菅さんの展望をお聞かせください。
木村:キャリアコンパスに参加した学生たちがISIDの方と関わることで、良い刺激を得られたのではないかと感じました。今後キャリアセンターとしては、学生が「人」と出会うきっかけづくりを強化していきたいと思います。それは企業の方だけでなく、同級生や先輩、他学部の学生なども含めてですね。ぜひまたキャリアコンパスのようなイベントをさせていただければと思いますし、良いイベントだったからこそ、もっと多くの学生に参加してもらえるよう、集客にもさらに力を入れていきたいと考えています。
小菅:クラスメイトや近しい人たちとの環境下では、人間関係が気になって自己主張しづらいこともあるかもしれませんが、キャリアコンパスのようなプログラムに参加してもらうことで、多様な人と議論しながら何かを作り上げる楽しさを知ってもらえるのではないかと思っています。1人でも多くの学生にそんな機会を提供できるよう、これからも継続していきたいと思います。
伊藤:たしかに、知らない人同士だからこそ恥ずかしがらずに自己開示できることもあるし、それによって新たな自分が見えてくることもあると思うので、ぜひこれからも一緒にやっていけたらいいですね。今後も近畿大学をはじめとした大学、企業と連携して、キャリア支援プログラムの内容を拡充していき、学生のキャリア形成を支援していきたいと思います。