京セラドキュメントソリューションズ株式会社 技術本部様 業務直結型の技術者育成アプローチと技術者研修による「育つ・育てる」風土づくり~技術者力強化の取組み~
- ものづくり
京セラドキュメントソリューションズ株式会社は、業務向け複合機・プリンター等の製造・販売を行っています。京セラドキュメントソリューションズではマネジメント教育や京セラフィロソフィをはじめとする全社共通の社内研修が展開されていましたが、市場ニーズの多様化(製品販売からソリューションビジネスへ)、情報機器を取り巻く環境の急激な変化(ネットワーク化、高画質化、環境規制)、新興国市場の成長等に迅速に対応するために技術者育成が特に重要になりました。しかしながら技術者が設計・製造業務を遂行するために必要な能力を身に着けるための取組みの大半がOJT主体となっており、特に以下3つの階層において体系的教育の実践強化が必要となりました。
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1.若手技術者層:技術者の背骨となる考える力京セラドキュメントソリューションズの若手技術者は自らに課された業務に多くの時間を取られ、自身の思考の癖や得意・不得意を冷静に振り返る余裕がない傾向がありました。そのため技術者としての基本的な考え方を十分に身につけられないまま働き盛りを迎えてしまうことが危惧されていました。
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2.中堅技術者層:メンバーをまとめ、チームとして動く力中堅技術者になると、仕事のやり方を個人プレイからチームプレイに転換することが求められます。製品特性から1プロジェクトに多人数が関わることが多い京セラドキュメントソリューションズでは、中堅層におけるチーム力向上スキルが特に課題でありました。
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3.課長クラス:組織力の向上部下を束ね個々の能力を組織力に昇華させるために、率先垂範のみならず指導育成も必要となります。しかしながら上司の姿を見ながらマネジメントを学ぶ傾向が強く、各人が職務遂行のあるべき姿において模索している状態でありました。
若手の課題解決能力の向上、課長クラスのリーダーシップ醸成を目指して
前述の背景から、技術者育成のプログラムは若手技術者層向け、中堅技術者層向け、課長層向けの3本立ての活動で実施しました。それぞれの狙いは以下の通りです。
[若手技術者研修]
●「考えて、整理する力」を強化することで、自らに足りない部分を考え、問題意識を醸成し、課題解決能力を向上する
● 研修を通して受講者各位の能力や行動特性を評価し、受講生の上長が今後のアサインメント(仕事の与え方)に活用する
[中堅技術者研修]
● 課題解決プロセスとチームとして動く力を身に付けさせ、今後組織を担うリーダーとなり活躍できる素地を養う
[課長研修]
● 率先垂範及び指導育成のために自らの課題解決能力を高め、課員に対する自らの言葉での指導を通して組織力向上につなげる
技術者の業務に特化した集合研修と演習、集合研修後の実践をフォロー
各活動において、若手技術者層向けにはElementary ARMS、他の職層には技術者力強化(ARMS)と新任技術マネージャー研修を基に技術者研修を実施しました。全研修に共通する特徴は以下3点であります
● 業務適用のため、技術者が直面しがちな具体的業務シーンを想定した演習を豊富に用意
● グループ演習により互学互習を行い、自身の得意不得意などの"気づき"を促進
● 職場で役立つ状態にするために集合研修後の実践をフォロー
[若手技術者研修]
設計部門、生産部門の入社3年目から5年目までの若手技術者を対象に、仕事の背骨となる「思考力」「発想力」の強化をテーマとする集合研修を行いました。
また、「自らの強み・弱みに対する気づき」、「集合研修で学んだ考え方や手法の定着」を促すために複数テーマのレポート提出を課しました。レポート評価結果は論理性、情報収集、独自性、表現力の4つの軸で実施し評価シートにまとめた上で、個別面談形式でコンサルタントからフィードバックしました。レポート評価にはコメントだけでなく、明確な基準に基づく評点をつけており、受講者間の比較や個人の伸びの定量的な測定ができるようにしました。
[中堅技術者研修]
設計部門の中堅社員を対象に、「理解力」「発想力」に加えてチームを牽引するために必要な「共創力」の強化をテーマとする集合研修を行いました。また、集合研修後の職場での定着を促すために、集合研修で学んだ手法や考え方を実務に適用する計画(図2参照)を各自に立てさせ、進捗や成果物、顕在化した課題に対するフィードバックを複数回行いました。フィードバックは個別ではなくグループで行うことで、メンバー相互のアドバイスや気づきを促しました。
[課長研修]
「中堅技術者研修」内容に加えて、意思決定・ファシリテーション・上意下達のコミュニケーションといったマネジメントや意思伝達の要素を拡充したカリキュラムを取り入れました。
毎回のレポートで若手が着実に成長/技術者研修の学びが業務で習慣化
[若手技術者研修]
ほぼ全ての受講者でレポートの評点は回を重ねるほど伸び、レポート作成という実践とフィードバックを通して集合研修の学びが深まったと言えます。特に論理性・表現力については普段の業務で具体的フィードバックを受ける機会をなかなか得がたく、有意義であるとの意見が多かったです。
また、受講者が自らの成長のためのフィードバックに飢えていることが個別面談を通してわかり、日常業務での上長からのフィードバックの頻度や伝え方に改善の必要性があることが認識できました。
[中堅技術者研修]
実務への適用結果に対するフィードバックの場では、多様な業務遂行スタイルを持つメンバーが、それぞれの実践から生まれた課題を共有し意見し合うことで、今までと異なる角度で物事を見ることができるようになりました。また、集合研修で学んだ手法を職場で実践することで、短い期間にもかかわらず現象解明や設計案発案、メンバーとのコミュニケーション改善など、実務での成果に直結させるメンバーが多く見られました。そうした実践の繰返しと効果の実感が、学んだことの習慣化を促しました。
[課長研修]
管理職の立場として求められる迅速な意思決定や部下との信頼関係構築の面で成果が出ており、これからの会社を支える屋台骨としてふさわしい人材が着実に増えています。
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※記載情報は取材時(2014年7月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。
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※2024年1月1日に電通国際情報サービス(ISID)、アイティアイディ、ISIDビジネスコンサルティングは、電通総研へ商号変更しました。
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