大和ハウス工業株式会社 アセスメントツール「Panaya」でSAP S/4HANA移行への第一歩を
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国内外の多くの企業が採用している基幹系アプリケーション「SAP ERP Central Component(以下、ECC)6.0」のサポートが2027年で終了するため、ユーザー各社は新バージョンである「SAP S/4HANA」移行への対応を迫られています。なかでも課題の一つとして挙げられるのが、移行に必須となる作業範囲の特定や、コストの見積もりなどを、アセスメントと呼ばれる事前の検証を通していかに正確に行うかです。
日本屈指の住宅総合メーカーである大和ハウス工業は、SAP S/4HANAへの移行に向けて発足させたアセスメントプロジェクトにおいて、アセスメントツール「Panaya」とISIDが提供するSAP S/4HANA アセスメントサービスを採用。精度の高い事前検証を短期間で実現しました。
「ISIDはSAP製品やPanayaに対する知見が深く、アセスメントを的確に遂行してくれたので、SAP S/4HANA移行への道筋が明確になりました。また既存ベンダーとの調整やスケジュール管理を率先して行うなど、期待以上にプロジェクトをスムーズに推進してくれ、通常4~6カ月かかると言われているアセスメントを2カ月で完了することができ大変助かりました」と同社 情報システム部 グローバルITグループ グループ長の加藤純氏は語ります。
グローバルの会計ガバナンス強化に向けて、SAP S/4HANAへの移行を決定
情報システム部 グローバルITグループ
グループ長 加藤純氏
大和ハウス工業は、国内グループの経営管理基盤として2012年にSAP ERPを導入。「Stay Current」のポリシーを掲げ、常に最新バージョンを適用し、SAP ERPの最新機能のメリットを享受してきました。海外進出の機会が飛躍的に増えた2018年には、海外拠点で先行してSAP S/4HANA Cloudを導入しています。
「我々は、2018年頃にはSAP S/4HANA への移行を考え始めていました。しかしながら当時は、費用対効果をどう考えるかといった根本的なところで課題に直面していました」と、加藤氏は振り返ります。
そのような中、2019年初頭にSAP ECC6.0のメインストリームメンテナンスを2025年に終了すると発表がありました。これは、2020年2月のプレスリリースにより、条件付きではありますが、2027年末まで期限延長となりました。
同社では、2019年に策定された第6次IT中期経営計画により、SAP S/4HANAへの移行に拍車がかかったといいます。
「第6次IT中期経営計画の中で方針の一つに挙げていたのが、グローバルでの会計ガバナンス強化でした。標準化されたERPパッケージで会計システムを統一し、会計プロセスの標準化、可視化していく事が必要不可欠です。その中で、本体の基盤であるSAP ERPの会計システムが旧来のECCのままでは矛盾していますよね?(笑)。会計ガバナンス強化施策の一つにSAP S/4HANAへの移行を加えることは当然の流れでした」(加藤氏)
Panayaを活用し、まずはアセスメントを実施
ISIDは分析した内容を大変わかりやすく説明してくれて、今後どういう対策をとるべきかのアドバイスもしてくれました。それにより、移行に伴うコストやプロジェクトの体制、進め方など、移行への道筋が明確になりました。
情報システム部 グローバルITグループ グループ長 加藤純氏
SAP S/4HANAの移行に向けて、複数社から話を聞いた加藤氏は提案内容に対して悩むことも多かったといいます。
「複数社から提示された移行に要する費用や時間の負荷はどれも膨大で非常に驚きました。その見積もりが適切かどうかも私たちにはわかりませんでした」と加藤氏。
そこで、コストや期間を正確に把握するためにまずはアセスメントだけを実施するよう方針転換をしたと言います。
「移行プロジェクトを2つのフェーズに切り分け、最初はアセスメントのみを実行しようと考えました。その後の移行は、アセスメントの結果を見てから決断するという方法を取ることにしました。アセスメントツールは以前から社内で活用していて信頼性の高いPanayaを、アセスメントのサポートにはPanayaの国内販売実績No.1の販売代理店として知見やノウハウのあるISIDに依頼することにしました」(加藤氏)
システムの棚卸で移行までの道のりを把握
一般的に、アセスメントは人手で行うと時間がかかるだけでなく、行う人の経験値によってばらつきが発生するという課題があります。アセスメントツール「Panaya」を活用することで、 SAP S/4HANAへの移行時に発生する影響の特定を客観的かつ効率的に行うことができます。
実際に、同社では通常4~6カ月かかるアセスメントが約2カ月で完了しました。
また、アセスメントとは「今の資産の棚卸」であり、ある意味「自身のERPの足元そのものを振り返る」ものでもあったと言う加藤氏。今回のアセスメントは、「標準機能の活用範囲と使用状況」「アドオン機能の総数と使用状況」「権限関連の設定総数と使用状況」の3つを把握し、それらを踏まえた上でERPのあるべき姿とSAP S/4HANAに向けてどうすべきかを検討することでした。
「印象的だったのは、正規のモジュール群をどれだけの頻度で使っているか調べたところ、普段意識していない標準機能がたくさん見つかったことです。アドオンプログラムにも全く使っていない機能が予想以上にたくさんあり、非常に驚きました。ISIDは分析した内容を大変わかりやすく説明してくれて、今後どういう対策をとるべきかのアドバイスもしてくれました。それにより、移行に伴うコストやプロジェクトの体制、進め方など、移行への道筋が明確になりました」(加藤氏)
「Panaya」で広がった、移行まで・移行後の展望
今回のプロジェクトは、ISIDを中心にベンダーとユーザーが一体となって出来た取り組みでした。これからもISIDには頼れるパートナーとして、また仲間として、力強く推進してもらいたいと期待しています。
情報システム部 グローバルITグループ グループ長 加藤純氏
今回のプロジェクトには、ISID以外にも複数の企業が関わっていたといいます。
「ISIDがPanayaに対する知見が高いことは分かっていたので、複数のベンダーからなるプロジェクトチームのリーダー役として、各種調整やスケジュール管理などもお願いしていました。その結果、我々が期待していた以上に、プロジェクトはスムーズに進行しました。実は、当初は厳しいスケジュールを要求したつもりでいたんですけどね(笑)」
アセスメントが終わった今、これからSAP S/4HANAへの移行のフェーズがスタートします。
「資産の棚卸及び影響分析だけでなく、実際の移行フェーズでもアドオンプログラム修正の詳細把握や自動修正機能などでPanayaを活用して省力化を図るだけでなく、システムでの自動化による標準化・高品質化も実現していきたいですね。また、移行検証等にも従来のPanayaテストソリューションのエビデンス自動取得機能を活用して効率化を図っていく予定です。当然の事ながら、S/4HANA移行後のバージョンアップ対応時の管理ツールとしても活用していきます」と語る加藤氏。
ISIDの印象について尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。
「システムの導入プロジェクトを進めていく上では、ユーザーと導入ベンダーが対立構造ではなく、全員が一体となって推進していける事が理想だと思っています。それには、我々ユーザーも1歩踏み込んでシステムの事を知らないといけないですし、ベンダーにもユーザーの立場に立って目的を同じように意識してもらわないといけない。
今回のアセスメントでの取り組みでは、ISIDを中心にみんなでワイワイ議論しつつ、今まではバラバラだったベンダーがまさに企業を超えて我々ユーザーも一緒に一体化出来た取り組みでした。これからもISIDには頼れるパートナーとして、また仲間として、力強く一緒に推進してもらいたいと期待しています」
2021年6月更新
- 社名
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大和ハウス工業株式会社
- 本社所在地
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大阪市北区梅田3丁目3番5号
- 創業
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1955年4月5日
- 資本金
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1,616億9,920万1,496円
- 従業員数
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16,712名 (2021年4月1日現在)
- 事業内容
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住宅事業、賃貸住宅事業、流通店舗事業、建築事業、
マンション事業、環境エネルギー事業、海外事業
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※記載情報は取材時(2021年2月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。
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