東急リバブル株式会社 SAP S/4 HANAの導入で会計、営業、経営の基盤を強化
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国内経済が減速するなか、売買・賃貸の仲介や新築販売受託、自社による不動産開発など総合的な事業展開で右肩上がりの成長を続けている東急リバブル。同社の財務部は2018年、長年活用してきた会計システムをSAPの最新ERPであるSAP S/4 HANAに刷新し本社と国内190店舗に展開、会計業務を大幅に効率化しました。会計データの抽出や他システムとの連携ではISIDが開発したBIツール「BusinessSPECTRE」も導入され、スピーディーかつ効率的な決算情報分析が可能になり、経営層への報告などで威力を発揮しています。今回の基盤構築にあたり、プロジェクトを主管した東急リバブル財務部長の飯島宏樹氏は、経営の中長期的な成長戦略と歩調を合わせたシステム構築を構想し、モバイルでのリモート決裁や店舗での数値入力の自動化といった働き方改革でも成果をあげています。飯島氏らのチームとともにこの基盤構築にあたったのは、ISIDのビジネスソリューション事業部。要件定義から基本設計、アドオン開発、移行のためのユーザー教育方針立案など広範な支援を行い、プロジェクトを成功に導きました。「今回立ち上げた会計基盤は次の10年、20年に向けたもの。その意味でISIDとはこれからさらにパートナーシップを深めていきたい」と飯島氏は語っています。
老朽化した基盤、部門の決断
「いつまでこのシステムを使い続けるのか?」東急リバブル財務部門を率いる飯島宏樹氏は着任当時の心境をそう語ります。
当時の会計システムは、20年ほど前に導入された旧来のもの。そのときどきの必要にあわせて機能拡張や修正をほどこしてきましたが、保守契約も切れ、使い回しにも限界が見えてきていました。「会計業務として必要最低限のことはできるのですが、データの容量も乏しく、取り出したい情報がすぐに出てこない」と飯島氏は打ち明けます。今後、電子帳簿保存法への対応やペーパーレス化、デジタルによる働き方改革といった課題も控えており、このままでは立ち行かなくなると懸念されました。
しかし、その大仕事を誰がやるのか。もとより社内ではデジタル時代にあわせた構造改革の動きが活発化し、各所でシステムの見直しが始まっていました。「最初からこの仕事は、財務部門が率先してやらなければならないと覚悟を決めていました」と飯島氏は話します。
「会計基盤を整備し進化させていく責任を持つのは、当然ながら財務部。システム刷新だけでなく業務フロー見直しも含め、経営や現場の進化に合わせて会計基盤を作り変えよう、という思いで現行システムの課題洗い出しに取りかかりました」
課題を抽出、めざすシステムの姿
導入リファレンスや実績に裏づけされたノウハウが豊富で、SAPの機能性を最大限に活かす自社ツールも揃っていました。また、提案も多面的に検討されており、期待が湧いてきました
生井 久貴氏
現場でプロジェクトを指揮した主計課係長の生井久貴氏は、部内で抽出したシステムの課題についてこう話します。
「これまでアドオン開発を繰り返してきたため、新たに機能を付け加えようとすると既存機能に影響が出てしまい、原因を見つけ出すのが一苦労でした。また、残高の細かな明細についてもデータが一元化されていないため、複数のデータベースから必要なデータを抽出して加工しなければならないなど、探し出すにかなりの手間がかかっていました。さらに、店舗の営業が行う経費の入力ミスを探し出すのが難しく、修正も手間でした」。 このほかにも、書類と印鑑で進む会計業務や、システム入力後に提出される紙伝票によるチェック業務のタイムラグ、店舗と本社のデータの2重入力などを生井氏は課題として挙げています。
「こうした現状を踏まえ、次期システム構築には大きく三つのテーマを掲げました」と生井氏は続けます。「まず、モバイル化やペーパーレス化など新しい業務プロセスへの対応、自在な会計データ検索による経営への貢献、そして自動入力などの業務効率化です」
最新ERP、新たなITパートナー
2016年末、課題抽出を終えた飯島氏らのチームは、新規会計基盤のプラットフォームとしてSAP S/4 HANAを選びました。
SAP S/4 HANAはSAP ERPの最新製品。財務会計、管理会計、販売管理、人事管理など多様なコンポーネントを備え、インメモリデータベースによるデータの高速処理を特徴としています。直感的な操作が可能な新しいユーザーインターフェースSAP Fioriも備え、モバイル端末のユーザー環境構築に威力を発揮します。ただ、当時市場投入されたばかりのこの製品は国内実績がほとんどなく、実装に関しては安心して仕事を任せられるパートナーが必要でした。
数社の提案を検討した結果、選ばれたのはISIDでした。生井氏はその際の印象をこう話します。「導入リファレンスや実績に裏づけされたノウハウが豊富で、SAPの機能性を最大限に活かす自社ツールも揃っていました。また、提案も多面的に検討されており、こちらの知らない新たな知見が得られるのではないかという期待が湧いてきました」
業務効率化に成果、次の展開へ
ISIDはしっかりとプロジェクトの手綱を握り、決められたスケジュール通り完遂させてくれました。今後、業務改革をさらに推し進めていくうえでも、パートナーシップをさらに深めていきたいと思います
飯島 宏樹氏
こうして2017年1月、会計基盤刷新プロジェクトは始動し、プロトタイピング、ツール開発、実施テスト、ユーザートレーニングといった一連のプロセスを経て2018年10月、本社をふくむ国内190店舗にSAP S/4 HANAは本格稼働します。
今回の導入により、モバイル端末による電子承認が可能となり、店舗における承認業務が場所を選ばずできるようになったほか、銀行手数料などの自動入力も可能になり業務効率が高まりました。請求書など証票類がPDFで添付できるようになり、経理部門でのタイムリーなチェック環境が整った上、今後の電子帳簿保存法対応への体制整備や経理部門のテレワーク環境整備にも繋がっています。
さらにBIツールであるBusinessSPECTREを活用することで、縦横な検索が行える環境が整いました。会計データの残高をワンクリックするだけで明細が分析できる手軽さに飯島氏は「将来的には経営向けの会計ダッシュボードのようなものを提供したい」と意欲を見せています。
リスクを取って新しいパートナーと進めたこの大仕事、その結果は? 「プロジェクトは成功です」と飯島氏は話します。
「今回は業務にシステムを合わせるのではなく、システムに業務を合わせるという方針でSAPの標準機能を最大限に活かしています。そうすることで保守費用を抑え、将来的なバージョンアップに備えることができる。そんな縛りがあるなか、ISIDはしっかりとプロジェクトの手綱を握り、決められたスケジュール通り完遂させてくれました。今後、業務改革をさらに推し進めていくうえでも、パートナーシップをさらに深めていきたいと思います」
2019年7月更新
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※記載情報は取材時(2019年5月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。
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