株式会社AIRDO デジタルマーケティングの基盤構築で販売力向上
- 顧客接点改革
- データ分析・活用
今年就航20周年を迎える北海道の翼AIRDO。地元の魅力を訴え地域経済の発展に貢献しようと、1998年、たった一機で運航を開始したエアラインは、いまや10路線、1日58便を運航する航空会社に成長しました。2017年夏、同社は顧客満足度やユーザー利便性の向上をめざし、デジタルマーケティングの統合インフラを構築。予約システムの英語化も実現し、訪日外国人旅行者の売上を増加させています。同社営業部の販売戦略に応えるこのインフラ構築を技術力で支えたのはISIDです。
不統一なデザイン、提供できない利便性
「どうしても、自由がきかないところがありました」。そう話すのはAIRDO営業本部で営業企画グループを指揮する馬場洋恵氏。「自由がきかない」というのは2015年時点での同社のマーケティングインフラのことです。チケット予約や会員向け情報発信に関わる部分でデザインを変更できないなどの制約があり、営業展開に支障をきたしていました。
当時、AIRDOの顧客向けWebインフラには、予約システム、会員システム、そして会員と非会員向けのWebコンテンツ管理システムがあり、それぞれが独立して管理されていました。そのためデザインの統一や情報連携が取りにくく、しかも管理コストはかさんでいました。
「営業部にとっては、提供したい利便性をお客様に提供できないことが一番の悩みでした」と馬場氏は話します。Web経由のデジタルマーケティングがセールスの主戦力となっている今日、Webインフラの制約によってターゲットに適切にアプローチできないというのは、営業にとって死活問題ともいえます。
技術面での課題になっていたのは航空券の予解約を取り扱うシステムで、これは提携先航空会社のシステムを共通で使用するかたちで展開されていたため、自社の要望のみで仕様を変更することが難しく、ブランディングやUIについて改善検討することが困難な状況でした。
「そのような中、会員システム“My AIRDO”の保守サポートが2017年夏に終了することになり、社内でデジタルマーケティング戦略の推進と、その基盤となるWebインフラ見直しの機運が急速に高まったのです」と馬場氏はプロジェクトの経緯を話します。しかし問題は、その大掛かりな見直しプロジェクトを誰がやるかということ。インフラ構築に求められる技術に対する知識や理解を考えると営業部が担当することは難しいため、こうした案件に実績があり、しかもマーケティングマインドを備えたパートナーが必要とされていました。
出色の提案、技術力とマーケティングノウハウ
2016年8月、馬場氏らは提携先ITサポート部隊の支援を受けながら構築するべきインフラの要件を固め、パートナーの選定を実施。ITベンダーを中心に提案を募った結果、最終的に選んだのがISIDの提案でした。その理由について営業部 販売促進グループを統括する渡部むつみ氏は「内容が抜きん出ていた」と話します。「もちろん各社ともに技術面ではしっかりした提案でしたが、ISIDの提案はそれを踏まえた上で、さらにブランディングやマーケティング戦略にも踏み込んで考えられていました」
それが可能となった理由は、ISIDのプロジェクトチーム編成にあります。今回の案件で、企業向けデジタルマーケティング戦略に関わる豊富なプロジェクト経験を持つISIDメンバーに加え、デジタルマーケティングソリューションを強みとする電通アイソバーが参画することで、電通グループのノウハウが最大限に生かされていたのです。細かな仕様にそれが反映されていたと渡部氏は話します。「例えば、予約システムの仕組みにおいても、『予約操作の中で予約確定前に座席を指定できた方がいい』というようなユーザー目線の提案が数多く含まれていました」
クラウドのメリットを生かし、短期構築を実現
ISIDは要望にただ応えるのではなく、本当に役立つことを考え、一番いい解決策を示してくれました
渡部 むつみ氏
同年10月、プロジェクトが始動。デザインコンセプトに従ってシステムの詳細が詰められ、インフラ構築が始まりました。ISIDは、Amazon Web Serviceを活用してWebシステムをクラウド上で統合することで高い拡張性と可用性、そして優れたコスト効率を実現しました。
立ち上げまで1年足らずというタイトなスケジュールの中、ISIDは複数環境での並行開発等クラウドのメリットを生かした手法を取り入れながらプロジェクト管理を徹底。AIRDOの新システムは、計画どおり2017年9月に稼働を開始しました。
その仕事ぶりについて渡部氏はこう評価します。「かなりの無理をお願いしましたが、誠意をもって最後まで対応してくれましたので、信頼感を持っています。また、こちらの要望にただそのまま応えるのではなく、AIRDOにとって本当に役立つことは何かを考えた上で、一番いい解決策を示してくれたと思っています」
外国人利用者や法人会員数が増加
ISIDの力を借りて、ようやく自分たちのやりたいことができるようになりました
馬場 洋恵氏
公開からほぼ1年、新システムは大きな成果をもたらしています。
「今回のプロジェクトで、新基盤上に多言語化のベースの仕組みを作り、予約システムを英語化したことで海外からのお客様が増加しました」と馬場氏は満足げに話します。「今後、中国語や 韓国語にも対応していくつもりです。また、リニューアルした法人専用インターネット予約サービス"AIRDO Biz"も大好評で、法人会員数が大きく伸びています」
AIRDOは業界に先駆けてLINEと連携した搭乗サービスなども提供しており、デジタルマーケティングへの取り組みを加速させています。「今回の成功により、顧客に寄り添うOne to Oneマーケティングの下地が整いました」と馬場氏は話します。「ISIDの力をお借りして、ようやく自分たちのやりたいことができるようになりました」
2018年8月更新
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