株式会社滋賀銀行
滋賀銀行がISIDをパートナーとして業務改革を進めた結果、
新業務支援システム「SUCCESS」は誕生しました
新業務支援システム「SUCCESS」は誕生しました
- 金融業務
- 顧客接点改革
「自分にきびしく人には親切社会につくす」を行是に掲げる滋賀銀行。地域社会との共存共栄を目指す姿勢は設立以来受け継がれています。2011年5月には「顧客との対話力」強化を目的とした業務改革(融資BPR)プロジェクトがスタート。お客さまのために地方銀行がどうあるべきかを追い求めた結果、お客さまを起点とした新たな業務プロセスとそれを支える新業務システム「SUCCESS※」が誕生しました。今、同行の変革はさらに前進しようとしています。
改革はすべて「お客さまのため」
改革はこれからも続きます。
ともに『新しい働き方』を作り上げ、
定着させ、ともに成長を実現していくパートナーとしてISIDの存在に期待をしています
戸田 秀和氏
業務改革プロジェクト発足の経緯を、プロジェクト責任者となった戸田秀和氏は語ります。
「2008年6月に就任した大道良夫頭取の強い思いが、このプロジェクトの発端となっています。頭取は就任後すぐに全店へと出向き、全職員との対話を通して銀行が抱える課題に向き合いました。ここで明らかとなった最も深刻な課題が、業務の重層化や複数システムの導入により、内向きの作業が増加し、お客さまとの接点が減少しているという事実だったのです」
そこで滋賀銀行は、2010年4月~2013年3月を対象とした第4次長期経営計画において「“対話力”強化」をビジョンとして掲げました。頭取自らの強い課題意識が、このビジョンには込められています。大役を任されることになった戸田氏は、プロジェクトが目指した姿を、近江商人の精神に結びつけています。
「滋賀銀行には近江商人の精神が歴史的に根付いています。『売り手よし、買い手よし、世間よし』の三方よし、つまりこだわりのある『共存共栄の精神』です。現代の地方銀行でこの精神を具現化するのがこのプロジェクトなのだと考えました」
プロジェクト開始にあたり、メンバーには各業務部門から精鋭が集められました。そしてこの戦略的なプロジェクトにおいて、パートナーとして選ばれたのがISIDです。ISIDは、地域金融機関の融資・営業領域における豊富なシステム構築ノウハウと、グループ会社iTiDコンサルティングによるコンサルティングメソドロジーを組み合わせ、「業務課題の可視化・分析」から「顧客中心業務を実現するシステムの構築」「定着を図るための人材育成支援」までをトータルで提案しました。従来のシステムベンダーの枠を超えた提案に、プロジェクトメンバーは共感したといいます。
「私たちがISIDを選んだ決め手は、ISIDがシステム提案以前の、改革の大もとの精神につながるコンセプトとソリューションを持ってきてくれたからです。お客さまとのコミュニケーションに豊富な知見を持つ電通グループならではの、お客さま起点というコンセプトが非常に新鮮で刺激的でした」(戸田氏)
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※SUCCESS:SHIGAGIN Utility Customers Communication Excellent Support Syst em
顧客情報を一つに集約した「SUCCESS」
以降、滋賀銀行とISIDはパートナーとして、業務とシステムの見直しに取りかかりました。融資担当の立場で参画した前田昌治氏はこう振り返ります。 「業務を変え、システムを変える、となれば現場から多数の要望が出ます。プロジェクトは部門横断型でしたから、それぞれが現場を代弁する意見も出して、議論は常に白熱します。それでもなんとか着地できたのは、全員が『その機能は本当にお客さまのためになるのか』『全体最適の視点から見て本当に必要なのか』という視点を持っていたからだと思います。時には自分の部署の要望機能を削ることもありました」
本部と営業店の役割と業務の見直しも大きな変革の一つでした。営業推進の立場で参画した青山卓也氏はこう語ります。
「業務を効率化することも当然の目的なのですが、大前提としていたのが『お客さまのために業務を変える』という熱意でした。そのためにすべての業務を洗い出し、変えるべきところは思い切って変えました」
業務を支えるシステムにも改革が求められます。システム担当の瀬古数久氏はその代表的な例をこう説明します。
「既存のシステムは渉外、融資、CRM支援の三つに分かれ、お客さまに関する情報を整備する業務が分散されていました。システムの老朽化という問題点もありましたが、なによりまず、『三つのシステムを一つにして、お客さま情報を整備する機能を一元化し、お客さま起点での業務運営を具現化する必要がある』と考えました」
本部と営業店の間の非効率な業務、業務毎に運用される複数のシステム、どちらも金融機関では一般的に見られる課題です。滋賀銀行はいち早くその課題に向き合い、他行に先駆けて真の業務改革に踏み切ったといえます。
新システム稼働の今こそが「変革の始まり」
銀行の言葉で議論してくれたこと、
『実行すること』を前提に物事を考える姿勢、メンバーの強い個性。
この3つがISIDと協業した理由です
瀬古 数久氏
こうした取り組みの末、2013年5月に新業務を支援するシステム「SUCCESS」は稼働を開始しました。複数のシステムが統合され、お客さまの情報が一元化されたことによる効果は多大でしたが、新システムのオペレーションに慣れるまでは営業店からの問い合わせが相次いだと言います。前田氏も「システムの画面に向き合う時間や本部への報告にかかる時間を減らし、そうして生み出した時間をお客さまとのコミュニケーションに活用する、という働き方の変化に戸惑う声も当初はあった」と振り返ります。
しかし、これらを踏まえつつ、業務統轄部の吉田浩平氏は今後についてこう語ります。
「『SUCCESS』は私たちが日々お客さまと向き合っていくためのツールに過ぎません。お客さまの満足度という結果につながって初めて価値が生まれるわけです。これからも続いていく継続的チャレンジなのだという自覚は我々全員にあります」
これを受けて戸田氏は最後にこう述べました。
「ISIDがシステム稼働の日を『カット・オーバー』と呼ばず『サービス・イン』と呼んでいて、なるほどと思いました。変革は『終わった』のではなく『始まった』ところなのです。2013年4月に始まった第5次長期経営計画においても『お客さま・地域とともに未来へ歩む銀行』を基本ビジョンに掲げています。お客さまへのサービス提供力を一層強化するため、今後もISIDと一緒に業務改革活動に取り組んでいきたいと思います」
ISIDは、今回の業務改革プロジェクトを通じて滋賀銀行に提供した一連のサービスを体系化し、顧客中心業務を実現する融資・営業プロセス改革支援サービス“BANK・R 4s(バンクアール・フォース)”として提供しています。
2013年12月更新